「盗聴器のある辺りに
衝撃を与えてくれれば
それに便乗して
自分で壊そうと
思っていたんだけど
さすが拳法をちゃんと
学んできただけあるな。
基本に忠実」
急所を外さずに
拳打を入れてきた、と
セイがまた笑うと
「…キミはその為に
わざと僕を挑発して…?」
バードさんの表情が
複雑に歪む。
「ワンオーのバカなんて
ド素人だから
こっちが
予想もしないトコロを
鉄扇で殴ってきてさ」
…車の中で
ワンオーのおに〜さんを
挑発していたのも
そういう意図が
あったから…。
「盗聴犯に
気づかれないよう
あくまでも
不慮の出来事として
盗聴器を処分しなくては
いけなかった、から
なかなか
いいチャンスがなくて
困ったよ」
「……」
「電話を使うと
ハウリング具合で
俺が盗聴器に気づくかも、と
犯人は警戒も
していただろうからさ
母さんとも
メールでやりとり
しなくちゃいけなくて」
まさか、そのときに
「誰かさんにお前を
拉致られるなんて、な」
セイがバードさんに
嫌味な目を向けた。