あのときセイは
「ママに連絡を
取ってくれていたんだ?」
家で待つママ達を
安心させる為に
知恵を働かせていただけで
私以外のコトに
気を取られていた
ワケじゃなかったんだ…。
「しっかし。おまえが
本当にトーコでよかったよ」
「え」
「お前なら誤って
時報に掛けてしまっても
なんら不自然じゃないしね」
お前がいなけりゃ
盗聴器の破壊が出来てるか
確かめるのにも
もうひと知恵
いるトコロだった、と
セイの目が笑ってる。
「……」
なんかッ
すっごくバカにされてる
気がしますけどッ。
でも。
不可思議だった
セイの行動の数々に
説明がついて
なんだかホッとしている
自分がいるのも本当だった。
「お前、何、笑ってんだよ」
「ふふんッ」
ついつい
口の端が緩んでしまうのは
ご愛嬌。
「…あのさ。キミ達。
一体、なんなの?
演武の仮面に盗聴器、とか
ワケわかんないんだけど?」
「…まあ。俺くらいになると
いろいろあるワケよ」
なんて
今回の騒動とは
切り離して考えているような
セイの口ぶりに
「誤魔化すなよ!」
なにかと疑心暗鬼な
バードさんは
かえって
不安を掻き立てられた。
「キミが指にしている
そのシールゴミ!
それも案外、盗聴器
だったんじゃないの?」