「ご丁寧に
醤油ジミまでついててさ。

この袖口に
つけられていたってのは
まず間違いないだろう」


って。

「…それって」


バードさんが
切れ長の目を見開きながら

私の袖口と
自分の手の中の盗聴器を
見比べている。


「ちょっと待って!」

落ちていた盗聴器って

「ホンットに本ッ気で

バードさんじゃなく
私につけられてたのッ!?」


「くどいぞ」

「だってッ、セイってばッ

いつもその場しのぎで
適当なコト言っては

私を脅かしてるしッ」


「……」

「だからッ」

「……」

「セイはッッ」

「……」


動揺する私を見つめながら

セイは
表情ひとつ変えずにいた。


「だってッだってッ!

こんなトコロにそんなモノ
誰かにつけられたら

絶対に気づいてるしッ」


「そうか?

シンスケさんのケータイを
ポケットに入れられて
気づかなかったの

どこのおバカちゃん
だったっけかな…?」


「だって…」


それに

バードさんの盗聴器に対する
あの過敏なくらいの反応を
見たら

誰だって…。