露になったセイの上半身。
バードさんの目は
その背中に
釘付けになっている。
「…これって、火傷の痕?」
「……」
それは
小学生だったセイが
集団リンチの末に
押し当てられた
無数のタバコの痕で。
ひきつった皮膚。
初めて私が目にしたときに
比べたら
ずいぶん目立たなく
なっているとは言え
きめ細やかな肌に
似つかわしくないソレを
初めて見たヒトが
衝撃を受けるのも
わからなくもないけれど。
「…タバコの火を押し当て
文字を書いて」
セイの背中に
指を這わせながら
「証拠が残るとヤバい、と
再びタバコで
文字を消して…」
バードさんの声が
震えていて。
「…キミ。あのときの…?
あのときの
小学生だったんだ?」
バード、さん…?
悔恨の日々。
慚愧の念。
忌まわしい過去が
今、私の前に
晒されようとしていた。
月夜に啼く春鶯
〜ツキヨニナクトリ
レクイエム#056
≪〜完〜≫
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