言い訳もせず
黙り込んでいる
バードさんに
無言のプレッシャーを
与えているセイ。
その重苦しい空気に
耐えかねて
「あのッ」
口を開いたのは
私、だった。
「あのねッ。
あのとき、車の中では
ちょうどねッ
ワンオーのヒトに
見覚えがある、とか
バードさんが
追い詰められていてねッ」
「……」
「それでバードさん
アセってたから
セイの顔なんて
まともに見てなかったんだと
思うんだッ」
「……」
「それに、ほらッ
声だってッ
ヘルメット越しで
私にもわかんなかった
くらいだしッ」
「……」
「小学生のときって
セイはまだ
声変わりしてなかったんじゃ
なかったっけ?」
「……」
「身長だって全然違うしッ」
私ひとりが空回り…。
「だからッ」
「……」
「あのッ」
私みたいな第三者の
出る幕ではナイってコトは
わかってはいる。
いるけれど。
「私はね…ッ!」
少しでもバードさんが
話しやすい空気になるように
テンパる私の横で
「そもそもさあ。
アンタ何で
ワンオーなんぞを
自分の車に乗せてたの?」
無情にも
セイの厳しい追及が
始まった。