「バレるリスクを
少しでも考えたら
俺だったら
そんなマネ出来ないけどね」
「それはッ!
私と血だらけのシンスケが
ワンオーの故障車を
押して歩いていたのを
バードさんが
見かねてねッ」
「……」
「ホントは
車を牽引するだけの
ハズだったのに
なんかいろいろあってッ
ワンオーのヒトが
強引に乗り込んで
来ちゃったり、でッ
バードさんとしては
想定外だったと思うんだッ」
「……」
「だからッ」
「……」
「あのッ」
「……」
「その…」
「……」
「……」
何で
お前が答えているんだ、と
セイのその目が
言っているッ。
首筋に汗が滝のように
流れて落ちてきて。
「…車を押す
血だらけの見知らぬ男女!
そんなのを見掛けて
声を掛けるなんて
ハハ!
どこのB級怪奇映画の
主人公だよ!
なあ?」
セイの高らかな笑い声に
助けを乞うように
私がバードさんを見ると
「…ったから…!」
バードさんの口元が
かすかに動いた。
「…バードさん?」
「あのときと同じ後悔を
繰り返したく
なかったから…!!」