「あれだけのタンカを
切っておいて
どのツラ下げて
ココに
戻って来れたのか!」
セイ…?
「あの日
現場に踏み込んできた
バカなアンタを
アイツらは
そう揶揄していたな」
「……」
「あの日のコトは
よく覚えてるからさ」
セイはそう言うと
バードさんの方に
カラダを向け
「あ」
動揺するバードさんの手を
引き寄せる。
「アンタのコレ
あのとき
俺を庇って出来た
根性焼きの痕だろ?」
バードさんの
指に巻かれた絆創膏を
セイが剥がすと
白い指に不似合いな
赤い引きつりが
剥き出しになった。
「…正面切って
オンナひとりで
正義感に駆られるまま
踏み込んで来るなんて
なんてバカなヤツなんだ、と
思ったよ」
「……」
「どこの妄想ヒーローだよ!
ってさ」
…口から出るコトバは
辛辣だったけど
セイのその口調はおだやかで。
「ありがと、な」