「…義弟くんが
非行に走るように
なったのには…その」
「……」
「相応な原因があって、で」
「ハ!
非行に走るのに
“相応な理由”なんて
チュー坊の言い訳か!」
「だから!
その…情状酌量の余地が
あるってゆ〜か…」
奥歯にモノが挟まったような
じれったい
バードさんの言い訳に
「それがアンタの言う
“あの騒動”?」
セイが
痺れを切らすようにして
容赦なく切り込んでいく。
「……」
「クボの長男はアンタに
どんな話を
語っていたのかな?」
「……」
「ま
リストカッターお得意の
キラキラ妄想
なんだろうけどさ」
「違う!」
「……」
「あの日、彼女は
泥酔していたから、って
クボくんはあくまで
そのときの様子を
冷静に…!」
「……」
バードさんは
何かを言い掛けて
「……」
そして
コトバを呑み込むのを見て
「…泥酔してた彼女、って
本妻のコトだろ?」
口の堅いバードさんを
刺激するかのように
「当時
ボック☆総帥の本妻が
荒れ狂っていた、ってのは
業界でも
かなり有名な話だよ」
セイがまた
自分の手持ちの情報を
披露した。