どこまでが冗談で
どこまでが
本当のコトなのか。
セイの口から出てくる
証言のひとつひとつに
身が縮む思いがする。
焼香する弔問客もいない
カタチだけの質素な祭壇。
「祭壇に背を向けて
ソファーに座っている
制服姿の中学生の足元で
セーラー服の幼女が
ケーキを食べていてさ
笑うよね」
「…それって」
もしかして
「クボ先輩と
…ルリちゃん?」
セイの顔を見る私を
「…弔問に来た俺の連れが
アタマを下げてるってえのに
ソイツは
うわ言みたいにずっと
独り言を言っててさ」
セイは無視して話を続けた。
“お前なんかが
生まれてきたから!”
“死んでしまえばいいのよ!
死になさいよ!”
“アンタの存在が
みんなを苦しめてる!”
“こうするのよ。
簡単でしょ”
“まだ死ねないの?”
“偉そうに、自分なんか
社長の器じゃない、とか
言ってるそうじゃない?”
“さすが賢いのねえ。
父親の血を
引いているからかしら”
消え入りそうな
無表情な、セイの声が
痛々しさを盛り上げる。
「それって…」
「たぶん
本妻のセリフだと思う…」
私の足元でバードさんが
アタマを抱え込んだ。