“知ってるわよ。
学校でも1番の成績
なんですってね”
酔った勢いで
中学生だった長男に
本妻が吐き捨てたという
暴言の切っ先は
さらには
我が子に向けられる。
“それに比べて
この子なんて
あんな安娼館に通ってた
オトコの血なんて
どうせろくなモンじゃ
ないわよねえ”
“この子は絵ばっか描いて
来年小学生だと言うのに
時計も満足に読めないの!”
「本妻は公家の血を引く
お姫様らしいからねえ」
自分より格下の
その辺のオンナ相手なら
商売女と見下して
夫の遊びにも
目も瞑れもしたけれど
「今度の浮気の相手は
親はキャリア外交官で
ヨーロッパの貴族の血を引く
外国育ちの才女ときた!」
心穏やかに
いられるワケはなく…。
でも、だからと言って
「…何の落ち度もない
子ども達を
責めてもいい理由には
ならないよ…」
動揺する私に同調するように
「そうなんだよね!
でもさ。クボくんが
偉かったと思えるのは
その後なんだよ」
声をおおきくしたのは
バードさんだった。