「…ただ確かめたい、の
一心から
訪ねた屋敷
だったんだけどなあ」
ネットで知った
自傷疵のウワサ。
まことしやかに流れる
飛び降り自殺説。
「もし、ウワサが本当なら
過去にしでかした大罪を
悔やんでの結果
だったのかな、なんてさ」
“何度も死のうとして
死にきれなかった”
幼いセイが抱いた
それは少年達の中にある
良心への
期待、だったのだろう。
両親の自動車事件を
事故として揉み消した
権力者。
犯人の
謝罪も反省もないまま
理不尽な思いを
胸に抱えてきたセイの
記憶の中に残る
事件を起こした少年達の
笑い声。
恨みや憎しみから
解放されるそのときを
セイはきっと無意識のまま
求め続けていたんだね。
「…セイ」
「だけどさ。
そんな発想するなんて
俺ってまだまだ甘い、って
実感させられたね」
え。