「まさか
あの生気の抜けた中学生が

ワンオーを使って
俺と彼女を
脅しに掛かるなんて

夢にも思わなかったよ」


「……」

見知らぬ弔問客に
自分の出生の秘密を語られて

クボ先輩が
脅されている、と
感じてしまうのも

無理はナイ状況で。


その日、セイが

クボ先輩のお義兄さんの
記事を目にしなければ

駅でメリーさんと
出遇わなければ


そしてメリーさんが
告白などしなければ

あのリンチ事件は
存在しなかったのかも
しれなかった。


そう思うと

居たたまれない気持ちに
なってくるけれど。


「なあ。アンタもホントは

前もって
知っていたんだよな?」


「…セイ?」


「あのリンチ事件の計画を」


え。


セイの視線の先。

バードさんがキリリ、と
セイを睨み返していて。


「…バード、さん?」


リンチ事件を指示した
クボ先輩には
同情すべき事情がある、などと

クボ先輩に対して
おおいなる誤解を
してしまっていた自分を

まさか
恥じ入るコトになるなんて。


ドス黒い渦が
真実をおおきく歪ませ

傷ついた者達を
容赦なく食い物にしていた。





月夜に啼く春鶯
〜ツキヨニナクトリ

レクイエム#060

≪〜完〜≫


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