レクイエム#061


勝ち気な目をした
バードさんを

シラケた目をしたセイが
冷ややかに見下ろしている。


「えっと…?」

私はバードさんの顔色を見て

「あの、ですね?」

セイの表情を確かめた。


私の視線がふたりの間を
何度も何度も往復する。


「……」
「……」

「……」


バードさんはともかく

今日のセイはどうして
しゃべったり、やめたりを
繰り返しているのだろう。


玄関の方へ
視線を泳がせたり

壁に甘えるように
自分の頬を押しつけたり


終始、どこか
落ち着きがないのは

首の痛みのせいなのか。


「セイ、話はまた今度にして
とりあえず病院に…」

セイの首筋に伸ばそうとした
私の手を拒否するように

「あのさあ…!」

静まり返っていた廊下に
突然、セイの声が響き渡った。