「善良な人間が知らぬ間に
悪事の片棒を担がされる」
「……」
「ワンオーという組織の
怖いトコだよな?」
セイに間近で目を合わされて
「……」
バードさんの切れ長の目が
泳いでいる。
口元が
かすかに動いているのは
何かを釈明をしたいと
思っているからなのか。
「あのねッ、セイ。
バードさんだって
そんなワンオーに
三下り半を突きつけて
飛び出したワケで…!」
思わずバードさんに
助け船を出そうとした私を
牽制するように
「俺が連れ込まれた
ワンオー本部の地下倉庫!
新人の間では
鍵が無くなった
“開かずの部屋”!
古参のメンバーの間では
“粛清の間”と
呼ばれてるんだって!?」
セイがおおきな声で
また怒鳴って
「……」
バードさんの口が
また一文字に結ばれた。