今日のセイは
どうも歯切れが悪い。


やっぱりどこか
おかしいと思いながらも

私はその言動を
見守るしかなくて。


「そもそも

通り魔の被害者は
アンタのじいさんの
店の客だ、とか
ウワサが立ったのも

被害者のカラダから
アンタのじいさんの店の
オリジナル人気商品と
同じ香りがした、って

証言があったのが
キッカケだったみたいだし」


「…そう言えば

ワンオーの車の中で
焚いてたお香が
入っていた紙袋

セイが買ってきた
よく出る便秘の薬が
入っていた紙袋と
同じマークが入ってた!」


“セイを信じたい”

その思いが
自分の記憶の中の断片を
次々と蘇らせていた。


「ワンオーの車や鉄扇から
香ってきたあの匂い!

どこかで嗅いだ覚えが
あると思ったら

死体妖怪のような
白塗りおじいちゃんと

我が家で焚いていた香と
おんなじだったんだ!」


「…死体妖怪?」