「俺はコイツと
話してるんだ」

セイのそのひと言に
ぎゅううむ、と
私の握りこぶしに
チカラが入る。


お前にはカンケイない、と

セイは言いたかったのかも
しれないけれど


「私だって…ッ!」

クボ先輩との間に
起こったあの出来事を

忘れているワケじゃない。


掌に残っている
ナイフの傷痕。

こうして
右の手で拳をつくる度

あのときの痛みが、光景が
蘇ってくる。


だけど

だけど!


「クボ先輩は
あのときの自分の過ちを
全部認めて

悔いていて…!」


「…それですべてが
解決したと?」


「すべて、って」


「……」
「……」