「クボくんといっしょに
転落した僕の先輩が
意識を取り戻す可能性が
なくなった、と聞いて
先輩の代わりに
この部屋の鍵を
クボ家の本宅に返しに行った
あの日
…見ちゃったんだ」
クボ家の本宅の近くの公園で
ワンオーの制服に
取り囲まれてる
遠目からでもそれとわかる
有名お坊ちゃま校の
制服を着た中学生の
見覚えのある後ろ姿。
「密葬で見掛けていたから
すぐに
クボくんの義弟くんだと
わかった」
他人目を避けるように
人気のない夕暮れの公園で
何を話しているのか。
「ワンオーは
ヘラヘラみんな笑ってるのに
義弟くんは身動きひとつ
していなくって」
ワンオーの
リーダー格のオトコの
何かの高さを示すような
手ぶりに
嫌な予感がした。