「…聞こえているハズなのに
無視していた、ね」
セイがちいさく笑う。
「無視したコトが
黙認、と
受け取られた…?」
「たぶん。そうだと思う」
私に答えながら
バードさんが
包み紙を胸に抱いた。
「…だからクボ先輩は」
自分がキチンと
意思を表明しなかったコトが
引き起こしてしまった結果を
「自分の罪だ、と…」
クボ先輩がやらせた
ワケじゃなかった…。
まさかの展開に
私の心拍が速くなる。
「…バカなヤツ。
これだから
悲劇のヒーロー体質は
迷惑なんだよな」
セイの軽口。
「自分はそんな依頼を
したつもりはナイ、と
毅然とした態度を
取っていれば
ワンオーはここまで
増長しなかっただろうにさ」
「……」
「何だよ。
お前の元カレの無実が
証明されたんだぜ。
喜べよ」