レクイエム#063
「えっと、あの」
困ったな。
「別にセイを責めてる
ワケじゃなくて…ね」
「……」
セイがこうして黙り込む度に
その態度を深読みし
構えてしまっている
自分がいる。
遠く感じるセイの背中に
「あのね、セイ」
伸ばそうとした私の手を
「僕が…!
僕が悪いんだ…!
僕が悪いんだよね…!!!」
「……」
バードさんの声が
引き留めた。
「…僕が、あのとき
ちゃんと言えれば
よかったんだよね」
「……」
「あの公園で
僕が勇気を出して
義弟くんに
声を掛けていれば…!
もしかしたら
ううん!
あんなリンチ事件なんて
起こらなかったのに…!」
私の足元で
バードさんは
慚愧の念をぶちまけた。