どこか冷めた気持ちで
「バードさん」
私がその華奢な肩に
触れた瞬間
「怖かったんだ…!」
「……」
「今の彼はもう
クボくんが可愛がっていた
あの頃の義弟くんじゃ
ないんだ、って
現実を突きつけられるのが
怖かったんだ…!!!」
バードさんの
“思い”の防波堤が
破断する。
「わかってたんだ!
ホントは!
そんなコト
本人に確かめなくても
あの義兄弟達の間には
もうあの頃の絆なんて
ないんだ、って!」
バードさんの拳の下で
油紙の包みが
ちいさく音を立てた。
「僕達はこの部屋で
義弟くんの姿を
見掛けたコトなんて
一度もなかったし
電話があった様子どころか
手紙をやり取りしていた
形跡すらなくて…!」