自分が
クボ家の跡取り息子だと
名乗っても

近所のヒト達が
誰も疑わないという
現実からも

目を逸らし続けていた
バードさん。


「だけど、それは!

全部、あの母親のせいだと
思っていたから!

思いたかったから!」


「……」


「あんな母親の目が
あるんじゃ

義弟くんだって
自分の思い通りに
動けないだろう、って

その自分勝手な解釈を
温存したかったから

アイツに声を
掛けられなかった、と?」


セイが
こちらに背を向けたまま

バードさんの
エクスキューズを
冷たく突き放す。


「会ったコトもない相手をさ

あの母親なら
やりかねない、なんて

よくもまあ
悪者扱いできるよな!」


からかうように

セイの声のトーンが
一段、上がった。