レクイエム#064


バードさんが
ひとつ、深呼吸をして

ガササ、と音を立てながら
油紙の包みを

床の上で開封する。


「それって…」

「クボ義兄弟が
いっしょに暮らしていた頃に
ふたりで描いたモノらしい」


黄ばんだ画用紙いっぱいに
色鉛筆が彩る

幼い義兄弟の夢。


「ふたりでボック☆を
宇宙一のハンバーガー屋に
するんだ、って

アイデアをこうして
書き留めてたみたいでね」


几帳面な文字で記された
ハンバーグのアイデアに

【おいしいの?】

幼い文字が
ツッコミを入れていた。


ボック☆カラーで描かれた
水色とエンジの
お店のカウンターには

ボック☆で働く
笑顔のふたり。


【僕はもう少しハンサムに
なる予定だから!】

【むり】


絵に書かれた注釈の
ジョークから

穏やかな時間が
垣間見える。


「彼らの未来予想図。

自分達をイメージした
モノなんだろうね」


「未来予想図…」