無残に破られている
黄ばんだ画用紙。
さっきの絵と同じように
色鉛筆で何かが
描かれていたようだった。
「あの義兄弟が
描いていた絵のほとんどは
すでに破られていて
さっき見せたのは
無事だった1枚、ってトコ
だったんだろ?」
セイが
壁に額を押しつけながら
面倒臭そうに邪推する。
「破った、って」
誰が…?
「……」
私達から
顔を逸らしたまま
バードさんが固まっていた。
「それって、さ。
あの転落事件で当時
警察が押収しきれなかった
本妻とクボ家が
探し続けている
“物証”
だったりして、ね?」
月夜に啼く春鶯
〜ツキヨニナクトリ
レクイエム#064
≪〜完〜≫
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