バードさんは私から目を逸らし

その手は口惜しげに
カーペットの毛足を握り込む。


“遇ったコトならあるさ”


“あのオンナ…ッ!

僕達の前で!

これでもか、って
酷いコトバで

我が子を
罵って行ったんだ!”


「…ごっくんこッ」


私のアタマの中で
バードさんの証言が

ひとつの結果に向かって

繋がろうとしていた。


「外に飛び出した
画用紙を拾い集めようとして

ベランダに身を乗り出した
クボ家の長男と

助けようとした
ワンオー所属の女子大生が

ともに転落」


「……」


「長男はほぼ即死状態。

女子大生は
意識を取り戻すコトなく
1ヵ月ほど後に亡くなった」