淡々と続くセイの“確認”に

バードさんは
身動きひとつしない。


「警察が到着したときには

現場には本妻と
顧問弁護士の姿だけ」


「……」


「本妻が
弁護士を通して主張していた
転落の原因とされる画用紙も

アンタの姿も
そこには、なかった」


謎の逃亡。


度重なる本妻による
自殺教唆の過去をも

まとめて断罪できる
恰好の機会であったろうに。


「どうして…?」


転落事故のショックで
気が動転していた?


ううん。

だとしたら

破られた絵を拾い集めて
こんな場所に隠すなんて余裕

不自然すぎるよね。


「その後の警察での
任意の取り調べにも

黙秘を貫いていた
そうじゃない?」


「……」

セイの追及にも
堅く口を閉ざしていて。


…バードさんという人間が
ますます
わからなくなってきた。