「…まさか
バードさんはそうなるコトを
見越して…?」

「……」


ううん。

バードさんが
とっさにそこまで知恵の働く
人間だとは到底、思えない。


確かに
わかりにくいヒトでは
あるけれど

思い込みが激しく
直情的で周りが見えなくなる
その性格が

演出でないコトは

指に貼られていた
絆創膏の下の古傷が
何より物語っていた。


「…バードさんは

絵をこれ以上
破られたくない、と
思ったから

ここに隠していたんだ、と

私達に言ってたよね?」


「……」


「それ、私、信じるよ」

「……」


「バードさんが
逃げ出したのだって

ほらッ、現場にいたら
どこに隠したか
白状させられるしッ」


「……」

「ね?」


そうなんでしょう?、と
私に同意を求められるのを
嫌がるように

「バード、さん?」

バードさんは俯いていた。