だけど。


「ホ〜ント!

自分の義母を
くだらないウワサから
守る為に

自分の“大切な”想い出を
差し出すなんて」


アイツもどこまで
М体質なんだろうねえ、と

紙を破り捨てる仕草をする
セイに

その場の空気が一転

凍りつく。


「…なんで…?

どうしてわざわざ
破る必要が…?」


残酷な現実に

バードさんの声が
震えていた。


「転落当時の
成長した長男の指紋までは
偽造できないから、に
決まってんだろ」

「……」


見つかった証拠品は
あくまで絵の“一部”だから

その部分に
成長した長男の指紋が
なかったとしても

不自然はナイ。


「本妻側としては

大事な想い出の絵を
追い掛けて
ベランダに身を乗り出し
不幸にも転落した
長男、ってトコを

立証できれば
いいんだからさ」


「…そんな」