「このままだと

お前のアタマの中が憶測で
あらぬ方向に
膨らみそうだからさ」


セイの恐ろしい無茶ブリに
私はブンブンと頭を振り
抵抗する。


「私ッ、何も知りませんッ!

何も聞いてませんッ!
何も見て…」


私のアゴを持ち上げていた
セイの中指が

「むぐぐぐぐうう」

私の言い逃れを
簡単に阻んできた。


「本妻がブチ切れてたのは
一番奥の
南ッ側の部屋だっけ?」


抵抗する私の腕を
脇から抱え

おおきな歩幅で
セイはリビングへ侵入する。


「当時の捜査記録によると

あの日は
クボ家の跡取り息子の
合格発表日
だったんだよなあ!?」


不必要にデカいセイの声に
挑発されるように

「……」

バードさんが遅れて
リビングに姿を現した。