部屋履きにも見える
華やかな布製の
チャイニーズ・シューズ。
土足のセイに
違和感なくいた自分が
恥ずかしいです。
なのにッ!
「なんで?」
このオトコに
常識という名の説得は
通用しないのかッ。
「本妻だって
この部屋に
土足で入ったんだろ?」
…ああ言えば、こう言うッ。
本当に扱いづらいぞ。
だけど
「当時は冬だったよね。
ベランダのサッシは
誰が何の為に開けたの?」
「え」
「本妻がわざわざ開ける
なんてのも変だよね?
自分の家の恥をわざわざ
近所中に吹聴するようなマネ
プライドの高い本妻が
やるワケないだろうし」
セイの疑問に
その場の空気が緊迫した。
「長男と一緒に転落したって
女子大生が
本妻に恥をかかせようと
わざと
ベランダのサッシを開けた
とかだったりして!」
「先輩は
そんなつもりじゃ…!!!」
「フフン」
「あ」