レクイエム#068


「あのさ。セイ?

それこそ
ご近所に筒抜けだからッ

ねッ?」


部屋の奥に入ろう、と
私がセイの腕を引っ張ると


「へ〜えええ!
中でなら話す、と!」


さらにボリュームアップした
セイの声が

月夜に弾ける。


「風が冷たいからッ!」

私に上着を掴まれた
セイの顔が

「…ッ」

苦悶に歪んだ。


「もおおおおおおッ!

ほらッ、やっぱ
痛むんじゃないッ!」


「…へへ」

「余裕見せて
笑ってる場合ッ!?」


ふざけたその態度とは真逆な
額から滲む汗。


「…キミ、さあ。

どうして
クボ家やあの日の出来事に
そこまで興味を示すワケ?」


バードさんの直向な疑問が
こちらに向けられる。



「金になるから、に
決まってんじゃん?」


…え。