「セイはこうみえても
パトロンがいてッ
お金には不自由
してなくて、ですねッ」
「……」
「あッ、パトロンと
言うのはですねッ
愛するセイの為なら
お金を惜しまない
ヒト達のコトでッ」
「……」
「私はこんな汚い身なりを
していますけどッ
ほらッ、見てくださいッ
セイが今着ているこの上着の
贅沢な刺繍ッ!」
「……」
「糸がシルクですよ!
シルクッ!!!!!」
「……」
「爪なんてほらッ!
プロのネイリストが
手入れしてるから…あッ
セイ、また
爪噛んだでしょッ!」
「……」
「いえ、あの、そのッ
ですからッ!
お金にはホンットおに
困ってないんですッ」
困っていないんです。
困っていないんです。
困っていないんです……。
部屋の中と脳内で
自分の声が木霊していた。