「……」
「バード、さん?」
「やっぱりキミ
面白い子だねえ」
え。
バードさんが眉尻を下げ
「はは…」
「……」
「あはははは」
辛抱堪らず笑い出し
「トーコちゃんには
ホント、かなわないな」
そのまま床にへたり込むと
「なんで
こうなっちゃったんだろ」
自嘲するように
溜め息をついている。
「バードさん…」
かきあげる前髪の隙間から
覗く瞳が
漆黒に潤んでいた。
「…あのオンナが
転落しかかっていた
クボくんの上着を掴んで
無事だった絵を
奪おうとして」
「……」
「ベランダで
3人が揉み合っている中
僕はクボくんから
パスされた絵を持って」
“逃げて!”
「クボくんの叫びを背に
一目散に駆け出した」
…バードさん。