「コイツが
わざとやったに違いない。
でも、決定的瞬間を
見ていたワケじゃない」
「絶対
あのオンナがやったに
決まってるんだ!」
…バードさん。
「それでアンタは
本妻が自分の罪を認めず
安穏と暮らしていくコトを
許したくなかった、と?」
「……」
「自分が黙るコトで
証拠の絵を隠すコトで
世間の厳しい疑惑の目に
本妻をさらして
アンタは
本妻に自分の罪深さを
思い知らせて
やりたかったんだよな?」
「……」
…セイの憶測に
否定もせず
頷きもせず
バードさんは黙っている。
「だけどさあ。
ホントにあの本妻が
殺したりしたんだろうか。
ねえ?」
「…それは」
「動機が弱いんだよねえ」
さらなる長期戦を
覚悟したのか
痛む首筋を押さえながら
カーペットの上
セイが足を投げ出した。
月に掛かろうとする雲を
夜の風が追い立てている。
老朽化したマンションの中
真実のベールが
剥がされるその瞬間を
恐れるように
怪しい影が暗躍していた。
月夜に啼く春鶯
〜ツキヨニナクトリ
レクイエム#068
≪〜完〜≫
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