「“殺される”なんて
発想がなかったんだよ!」


バードさんの
ロマンチックな意見を

セイが
一刀両断、却下するッ。


「あの本妻はさあ

意地になって
取り合いをしていた絵を
持ち出そうとしている
アンタを追い掛けるより

その場にいるコトを
優先したんだよなあ?」


「……」


「あの場にひとり残されて

もしふたりが
たとえ事故だったとしても
本当に転落したりでもしたら

自分が疑われる、とか

フツーなら考えるっしょ?」


「…それは…!」


「ましてや、あの場には

アンタという
自分にとって不利な
証言者がいたワケで」


「あのオンナには

巨大企業グループという
バックがついてるし…!」


「逆だろ?

著名人だからこそ
妙な噂が命取りになる」


セイが視線を夜空に向けた。