セイの本当のご両親の事故も
閉鎖された
特異な土地ではなく
この大都会で
起こったのであれば
クボ家の義兄弟を
とりまく状況は
今とは違うモノに
なっていたのだろうか。
なんて
今となっては
考えても
仕方のないコトだけど…。
「あと
死んだ息子が
死の間際に
足を掛けていたってゆ〜
鉄柵!
腐ってたんだよね」
え。
「ほら、そこからでも
見えるんじゃない?
老朽化して
変な欠け方した
出っ張り」
セイが指さす向こう
ベランダの鉄製の柵の下
曲線を帯びた飾りが
マンモスの牙のように
空に向かって何本も
整然と並んで伸びている。
「…エアコンの横にある
飾りが
何本か折れている…?」
確認しようと
鉄柵に近づこうとした私を
「そんなコトが…!」
邪魔にして
バードさんが
ベランダに飛び出した。