レクイエム#070


「入れ知恵、って…」

バードさんの
真っ直ぐな鼻筋に
漆黒の長い前髪が掛かる。


動揺を隠せずにいる
バードさんを

「夜風が冷たいから
ね?」

部屋に入るよう促そうと
その腕に触れた

瞬間

「あのさあ!」

セイの声のトーンが
また一段アップした。


「……」


バードさんは
こうみえても
女性なんだから

腕に触れたくらいで

そこまで
不機嫌になるコト
ないのにな。

と思いつつ

いつものセイらしい嫉妬に

少しホッとしている
自分がいるのも本当で。


「これって
何か痴話喧嘩の後だったり
するワケなのかな?」


「…はいッ?」


今度は何を見つけたのか。


セイの問い掛けに
振り返るのも

さっきまで程
ビクつきはしない。


けど。


「あ」