レクイエム#071
バードさんが気まずそうに
私とセイから
目を逸らしている。
セイがこんな風に
自分の弱さをさらけ出すのは
初めてではなかったけれど
それはあくまで
ふたりっきりのとき
限定だった。
「…あの、ね、セイ?」
なんか変だ。
「うまくは
言えないんだけど…」
つまり、セイは
「クボ先輩は
父親のお妾さんに
利用されていただけの
不器用なヤツなんだ、と
いいたいのかな?」
「……」
セイは私の問い掛けに
沈黙する。
「……」
「……」
なんだろう
この“違和感”。
「……」
いつだって
自分が正しい。
いつも
誰かのせいにして
そういう生き方を
押し通しても
許されてきた
セイだった。
なのに!