「だッ、だいたいねッ」
セイが本気で
盗聴したかったのなら
もっと確実で
バレにくい隠し場所が
いくらでも
あったと思うのに
「盗聴されているコトに
気づけ、と言わんばかりに
袖口なんかに
貼り付けてさッ!」
「……」
「私がどこまで
おバカか、とかッ
もしかしてッ
からかいたかっただけ
なのかなッ!?」
「……」
「……」
「…フ」
セイがまた笑っていた。
「お前ってさ」
「何よッ!」
「妙なトコ、鋭いのな」
「え?」
セイのその意味深なひと言に
疑問を持つ間もなく
『ピンポーン』
稲妻のような緊張が走る。
「…今、玄関チャイムが
鳴ったよね?」
開け放たれていたベランダ。
「夜中に
うるさくしてたから
ご近所の方が
抗議にきた、とか…?」
「もしかして僕達の会話
マンション中に
筒抜けに
なってたりして…?」
バードさんとふたり
顔を見合わせた。
『ピンポーン』