催促される玄関チャイム。


「…今更
居留守は使えない、よね」


私のセリフに
意を決したように頷いて

玄関へと急ごうとした
バードさんを制し

「俺が出る」

セイがゆらり、と
立ち上がる。


「冗談じゃない!

住人でもないオトコが
こんな時間
部屋から現れたら

なんて噂されるか!」


セイを振り切って
玄関へと
足早に向かおうとする
バードさんに


「…訪ねてきたのが
住民なら

いいんだけどね」


セイが思わせぶりな
コトバを投げ掛けた。


「…どういうコト?」


騒音被害の住民以外に

こんな夜中にこの部屋を
訪ねてくる人物なんて…。


「…まさかキミ

クボ家の人間を誰か
呼んだ、とか?」


「…クボ家の人間なら

チャイムなんか
鳴らさないんじゃないの?」


「だったら誰が!」


「さあね」


含み笑いしながら

及び腰なバードさんを
今度はセイが邪魔にして

玄関へと歩みを進める。


「そろそろ
ゲームにつき合うのも
飽きてきてたし…」


「え」


何か覚悟を決めたような
セイの後ろ姿に

「ちょっと待って、セイ」

セイを押し退け

「私が出るからッ」

私は
玄関ドアに駆け寄った。


「!」


待っていたかのように
突然開く玄関ドアに

「トーコ!」

「トーコちゃん!」

バランスを失い

勢いづいたまま
玄関の外へと
倒れ込もうとした私の
パーカーのフードを

来訪者が
乱暴に鷲掴みする。


「しつけのなってない
飼い犬は

ちゃんと
リードをつけてなきゃ
ダメじゃないか」


「……」


「やだなあ。

そんなキレイな顔で
睨まないでくれるかな?


ゾクゾク
しちゃうじゃないか」





月夜に啼く春鶯
〜ツキヨニナクトリ

レクイエム#071

≪〜完〜≫


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