「トーコちゃん…」


「犬がいるネットに
一番近いのは

ここから4つ下の階
だよね!?」


私がエレベーターホールに
飛び出すと

エレベーターが
この階で
停まってくれている。


「ラッキー!」


まだツキはあるッ!

大丈夫ッ!


迷いなく
そのエレベーターに
乗り込もうとした私の腕を

「!」

セイが掴んだ。


「慌てるな。

動くのは
事態を確認してからだ」


「だけど!!!」


動物好きで

本来なら
我を忘れんばかりの勢いで

先頭切って助けに
向かっているであろう
セイが

どうして私を
止めようとしているのか。


「まさか、もう…?」


「……」


「まだ、わかんないよね!?

だってッ、ほらッ

私だって前に
毒入りケーキ食べて
呼吸停止したけれどッ

この通りッ蘇ったしッ!」


「……」


「お前は実は
ゾンビだったんだ、とかッ

ゴキブリ並みの
生命力だから別枠だ、とか

言わせないからねッ」