そうだった!
このヒトがいたんだった!
セイの肩腕的存在で
「俺、もう
帰ってもいいかな?」
人間的に
とても問題のあるヒトが…。
「あのバカ犬のコトさあ
なんか見てるの
飽きちゃったし〜」
はい?
「俺が居ても居なくても
状況は変わんないっしょ?」
「……」
「後のコトは
セイに任せてれば
大丈夫だろ〜し」
じゃあね、と
後ろ姿で手を振りながら
テルさんが
エレベーターのボタンに
手を伸ばす。
「ん?、反応しない?」
「だからッ!
その肝心のセイがッ
今ッ、バードさんと一緒に
このエレベーターの中に
閉じ込められていて
ですねッ」
大変なコトになって
いるんです!
「あ〜、もしかして、コレ
回生電力機能で動いてる
エレベーターか〜?」
消灯している表示板の数字を
見上げながら
まるで他人ゴトみたいに
テルさんが苦笑した。