テルさんが
私のチカラの入った両肩を
ポンポン、っと
勢いよく叩いてみせる。
「下手にアンタが動くと
セイの完璧な処置が
頓挫しかねない」
だけど。
「…今日のセイは
ううん、ここのトコロ
ずっとセイは
やるコトなすコト
“らしく”なかったと
言うか…」
「…へえ」
「怪我をしてるせいかも
知れないんですけれど
でもッ、それにしたって
いつもなら
絶対にやらないような
ポカってゆ〜か失策が多いし
私以外の前で
セイが弱みを見せるとか
ちょっと前までは
考えられなかったからッ」
「…あのセイが、ねえ」
「だから!
心配なんです!!!」
「フッ…あのセイが…!」
「テルさん…?」
「いや、失敬。
あのセイも普通の人間
だったんだな、と
ちょっと新鮮だったモノで」
テルさんが、ククク、と
笑いを噛み殺していた。
月夜に啼く春鶯
〜ツキヨニナクトリ
レクイエム#073
≪〜完〜≫
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