「あ、ああ、うん。まあ」
私の指摘にテルさんが
「電池切れてたんだった」
言い訳しながら
自分の袖を引っ張った。
けど。
「今、なんか
ライム色とオレンジ色のが
光ってましたよね…?」
「…気のせいじゃ
ないかな」
テルさんが再び
自分の左袖を持ち上げて
腕時計を
私にチラ見せしながら
「じゃ、俺はコレで〜…」
その場を
慌てて立ち去ろうとする。
「……」
あきらかに挙動不審ッ。
「…ちょっと、もう1回
見せてくれませんかッ」
テルさんの左手首を
引き寄せると
「触るんじゃない!!!」
テルさんの怒声が
マンションの廊下に
響き渡り
「……」
「あ」
「……」
「いや、あの、コレ
大事なモノだからさ」
「……」
テルさんの動揺っぷりに
私の中の疑念が
確信に変わった。