予想だにしなかった
その答えに
私のアタマの中が
一瞬、軽いハレーションを
起こしているッ。
「あ〜なんとなく
雰囲気でね。
出来そうだな〜とか
わかっちゃうんだよね」
「あのッ、あのッ、あのッ
あのッ、あのですねッ」
アナタは自分の勘だけで
犬の生死がかかってる
このネットに手を掛けたと
言うんですかッッ!?
「あ〜、なんかアゴの痛みが
引かないんだけどお」
「ふざけないでくださいねッ」
「……」
「勘だけで動いてるのならッ
私となんら変わらないじゃ
ないですかッ!」
興奮し憤懣をぶちまける
私を見つめていた
テルさんの顔から
笑顔が消えた。
「…根拠のない一か八かの
アンタの野生の勘と
データの詰まったこの脳が
弾き出す“予想”を
一緒にするな」
声のトーンが
一段、低くなった
テルさんが
ユラリ、立ち上がる。
「…テル、さん?」
「貸して」
戸惑う私から
火の消えたマーカーペンを
奪い返して
テルさんが
マーカーの先を
私の目の前に差し出した。
「咥えろよ」