「よし、OK」
私の頬を軽く叩いて
テルさんが
マーカーペンを
私の口から取り返す。
「うん。理想の長さ」
俺って完璧、と
自画自賛している
その口調は
さっきまでとは別人で
テルさんは
初めて逢ったときと同じ
皮肉めいた笑みを
取り戻していた。
「……」
「じゃあ
手伝って貰おうかな」
芯が引き出された
マーカーペンのペン先に
明かりが灯る。
「俺がここから
指示を出すから
トーコちゃんは
コレを持って
非常階段の手前に
スタンバイして
くれるかな」
風に吹かれて
おおきく揺れる炎と
木々のざわめき。
闇夜に潜む悪意は
確かに
そこに存在していた。
月夜に啼く春鶯
〜ツキヨニナクトリ
レクイエム#075
≪〜完〜≫
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