「やだ、トーコッ!

婚約者がテク不足だからって

そんなに落ち込むコト
ないと思うよ!!」


…誰が落ち込んでるって?


「セイくんだって
まだ高校生だしッ。

これから頑張って
経験を積めば、ねッ!?」


…どうして私とセイが
励まされる立場に
なっているのか。


「ほらッ。

トーコが年上なんだから
しっかりと
リードしてあげて、さ!?」


ナンノが
元気に私の背中を
バンッと叩いた。


「…ナンノって
前の彼氏と経験済みなんだ?」

「まさか!!!!」


えッ!?


「私ッ、初めては
シンスケくんに
貰って貰うんだって
決めてるんだからッ!!」


誤解を招くようなコト

間違っても
シンスケくんに
言わないでよッ、って


ナンノが私に食らいつくッ。


「…あ、はいッ。だよね!

ナンノとシンスケは
運命の赤い糸で結ばれて
いるんだモノねッ」


「わかってれば
いいけれどッ」


ナンノが唇をとんがらせ
真っ赤な顔して
床を見つめていた。



「…シンスケ
やさしいから

何も心配するコトなんか
ないんじゃないの?」


「それはそうなんだけど…」


交際が始まっても
キスひとつ
求めてこないのは


「私が初めてで未熟だから

シンスケくんの要求に
応えられそうに
ないからかな〜

なんて」