チュッちゅ♂012


ママが
買い物から帰ってくると

今日もいつものように

買い物の途中で
見聞きしてきたコトを

リビングでテレビを見ていた
セイと私を掴まえて

意気揚々と話し始めた。


「それでねッ。

ネコにはやっぱり
カツオブシだろう、って

話になったんだけど。


キムラさんは

カツオブシなら

3丁目の乾物屋に
おいしいのが
置いてあるっ、て

言うんだけどッ。


タドコロさんは

デパートの…
ほら、何て言ったっけ?」


「…デパ地下?」


…セイは
今日も律儀に

ママの”ひとり言”に
つき合っている。


「そう!

そのデパ地下の方が

新鮮なのが
置いてあるから、って。


でも
タドコロさんって

魚自体があんまり
好きじゃないじゃない?


タドコロさんって
食べ物だけでなく
好き嫌いが多いのよね〜。


ほら洋服だって
いっつも緑しか
着ないでしょ?

あれだって、ね〜」



ママはさっきから

タドコロさんの話ばっかり
しているけれど。



「…ねえ、ママ。
ママは確か」

大変!、大変!、って
リビングに飛び込んできて

排水溝の中から
ネコの泣き声がする、って

話を始めてたんだったよね?」


「あら。そうだったわ!」