排水溝から出れなくなった
ネコの話は
どこに
飛んでいってのやらッ。
ネコは何が好きか、の話に
始まって。
煮干しの話が
スーパーの話になり。
スーパーの話が
特売の話になり。
タドコロさんの話になり…。
「そのネコちゃんねッ
どんどん泣き声が
ちいさくなってきたから
私達、慌てちゃってッ」
遠回りしたけど
ようやくネコの話に
戻ってくれた。
「弱ったネコちゃんだから
おびき寄せるにも
やっぱりカツオブシより
何か精のつくモノの方が
いいんじゃないか、って
タドコロさんが
言い出すモノだからッ」
…何かまた
話の主人公が
ネコからタドコロさんが
なってきてますけれどッ。
「精がつくモノといっても
弱ってるカラダに
ヘビーなのも何だしッ。
タドコロさんも
先月、食当たりで
病院通いしてた
もんだから。
あ、ちなみに
タドコロさんの食当たりの
原因なんだけどねッ」
「……」
「……」
いつになったら
ネコの安否に辿り着くのか。
「タドコロさんって
ほら、クーラーとか
嫌いじゃない?」
「タドコロさんの話は
もういいからッ!!!」
…思わず
大声を出してしまったッ。
「…母さん。
結局、ネコの声が
ちいさくなった後
みんなでどうしたの?」
動物好きの
セイにとっても
ネコの安否は
とっても
気になるトコロだろう。
「もしかしてママは
誰か助けを
呼んできます、とか言って
ウチに帰ってきて
いたんじゃないの?」
「え?」
いつになく厳しい
家族からのツッコミに
ママが顔色を変えてッ!!!
まさかッ。
だよねッ!?