「だって。
ネコちゃんってば
泣き声がしなくなったと
思ったら
排水溝の反対側から
自分で這い出たみたいで」
気がついたら
アタマの上の
木に登ってた、って…。
ママッ。
状況説明を
端折り過ぎッ!!!!
「どうして
ハッピーエンドの話を
そんなシンミリした顔で
話すのよッ!!!!」
「だってッ!
ふたりとも
くだらない話を
だらだらとしないで、って
言わんばかりでッ。
ママ、何だか哀しくなって
きちゃったからッ」
って。
…もしもしもし?
「はああああああああ」
ネコが無事で
何よりだったけどッ。
ママと話してると
部活でやってる
トレーニングの
インターバル走10本の
直後より
疲れますッ。
なのにッ。
「…ネコが木の上にいるのを
発見したのは
タドコロさん?」
そんなママを
やさしく気遣えるのが
セイの凄いトコロで。
「発見したのは
サガワさんトコの小学生!
ほら、坊主頭のここに
ハゲがあるオトコノコッ!」
あのハゲってね
実は小学校の
体育の時間にね、って
ママがまた嬉々として
セイを相手に話を始める。
さっきの
べそっかきママは
どこへいったのか…。