チュッちゅ♂014


新体操部の新しい演目。

たぶん
私達2年生にとって

これが最後の演目に
なるだろう。

そう思ったら
身が引き締まる思いだった。


ついつい
張り切りすぎて

演技にも力が
入りすぎて

おおきくみんなの輪を
乱してしまう。


「ちょっと!

歩幅がひとり
おおきい、って
何度言わせるの!!」


「ジャンプが高すぎ!!!
もっとみんなに
合わせなさいッ」


「…はいッ」


意気込みが空回りして

さっきから
コーチの叱責を
ひとり一身に受けているッ。


「もういいわッ!!!」


コーチが考えた
フォーメーション。

私が1年生に
呼吸を合わせないから
上手くいかないんだ、に
始まって


練習もそこそこに

みんなの前で
1時間ぶっ続けで叱られた。


「……」

その間

チームメイトも
お目玉につき合わされて

ずっと直立不動で。


コーチのお小言から
解放されたときは

思わず

「みんなッ
私のせいでゴメンッ!!!」

床に手をつき

チームメイトに
アタマを下げた。


「トーコ先輩ッ。
気にしちゃダメですよ!」